日常生活を向上させる介助とは

現場で重要なのは「できる」「できない」「している」の見極め

動作面だけでなく精神面も注視する

介護や医療の分野で頻繁に使われる言葉に、ADL(Activity of daily life)とIADL(Instrumental activities of daily living)があります。ADLとは歩行や食事など日常生活を送る上で必要最低限な日常生活動作、IADLとは金銭や服薬の管理などADLよりも複雑で高度な手段的日常生活動作を意味します。

ADLを行うことができていれば介護の必要性はなく、IADLまで行うことができていれば自立した生活を送ることができるため、ADLやIADLは介護認定の時にも利用されています。介護支援を受けるには介護認定調査を受ける必要があり、調査員は介護が必要な時間帯と介護が必要な場所をチェックしています。現在の要介護度は非該当から要介護5まで8段階に分類、歩行や食事など日常生活を送る上で必要最低限な動作が困難になるとより重いランクへ移行する必要性が高まります。

介護従事者は効率や怪我を恐れ介護をしがちになりますが、要介護者には自尊心があるためできることは自ら行いたいと考えてるものです。そのため、自立した生活を壊すことのないよう介護者は配慮しなくてはなりません。

食事をできるけど台所まで行けない、身体は洗えるけど着替えができないなど、ADL判断時にはできても日常の生活には支障があるなどADLの判断は難しく、リハビリの分野では「できるADL」と「しているADL」に分けて訓練をしています。思春期や更年期と同じように、高齢者も体と心のバランスが乱れるとストレスになるため、動作面だけでなく精神面も注視する必要があります。