日常生活を向上させる介助とは

現場で重要なのは「できる」「できない」「している」の見極め

整容動作のリハビリ支援を考える

誰かと会うというときに、その前に何をするのかを考えたとき、歯を磨き、顔を洗って、服を着替えて、化粧あるいは髭をそったり、髪型を整えます。つまり、整容動作とは身だしなみを整えるということであり、その身だしなみとは人が人と関わる際に相手に不快感を与えないようにする身支度のことです。

ADLには自身の生存維持に関わる要素を強く持つ動作が多いですが、ADLの中でも整容動作は社会との接点やQOLという要素を持つ社会的な存在としての人間らしさそのものを表す動作です。整容動作を単なるセルフケアと理解するのでなく、参加を促進して社会生活を円滑にするための動作であることを認識することが介護施設におけるリハビリ支援においては重要です。

このリハビリ支援は、人間らしさに向かい合う支援とすることもできます。身だしなみは自分らしさを表現するための手段でもあり、個別性を持つものです。また、整容動作の支援は精神的な満足感を得るためや、生活意欲を高めるためのものでもあります。つまり、その人らしく生きていくためのものです。

しかし、介護施設に入所していると、自宅で生活しているのとは異なり、化粧やおしゃれは介護の観点からの実現が難しくなりがちです。ニーズとしてもケアプランに入れられることもなく、リハビリにおいても同様になります。しかし、家庭や地域社会への復帰、参加を考えればこの整容動作というリハビリ支援は非常に重要なものなのであり、リハビリ、ケアの現場においてもっと取り上げるべきものなのです。